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2020年、鷲尾友公は人が集える広いスペース「UTOPIA尼ヶ坂」を仲間と作った。 スタジオもここに移した。 偶然にもコロナ禍、制作に集中する中、かつての自分と自ずと向き合っていた。 出来なかったことを今行なっていることにふと気づいたり。

10代から描き続けてきた。制作の場も試したいアイデアや技術も、経験値なく経 済的にも叶わず出来なかった。容易く誰かが機会を用意してはくれない。いつも自 分から、ゼロから動くしかなかった。先輩、友達、偶然出会った人たちにアイデア を伝える。話を聞く。協力してくれる人らがいた。商店街や工場などのまちと人た ちにフットワーク軽やかに、そして心をこめて接する。そうして生まれた様々のク リエイションとそのスポットがまちと人とともに育まれてきた。
逆境、失敗、現場から学んだ勘は鋭い。彼から進行中の出来事やアイデアの話を聞 くといつも楽しいのである。実現できたらと思うアイデアもあるが、やはりそう容 易くない。 それでも場は自分で作れる。辛いこともある。作りたいなら続けるほかない。 そして今、彼は作りたいと思う人に出会ったら誘い、一緒にまちの中に場を探し、
「作る」をつなぐ。
本展覧会も鷲尾が仲間と一緒に自主企画したものである。DIYスピリットはここで も健在だ。
こうしてクリエイションの息吹はあちらこちらに現れ、花開く。未来の「作る」へ。

北出智恵子(聞き役・解説)

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